巷に広がる怪異。秘封倶楽部は解決の為、ネットワーク内の世界へと飛び込む。
つくりものの空を好奇心に満ちた瞳で眺めた二人は、そこで意思を持つプログラム達と出会う――。


「Day After Day(上)」
頒布価格:400円
ページ数:52P、文庫サイズ
2015/2/21「境界から視えた外界-結-」倶18にて初頒布
本文サンプル(pixiv)


「――昔話をしてやろう」
私達の意図も伝わっていたのだろうか、彼女はそう前置いて語り始めた。
「人間を救いたい、そう思う奴がいた。そいつらは、善意から人間に手を差し伸べた。でもその度に、人間の中から邪魔者が現れたんだ。彼らの作ろうとする秩序を壊してしまう者、救いの手を血塗れにする邪魔者がな。彼らは困惑した。人間は救われることを望んでいないのかって」
なるほど、どちらの言い分も分からないでもない。きっと救いの手を血塗れにさせた張本人は、今ある自分たちの世界を、ルールを壊されたくなかったのだろう。
「あれこれ指図をされたくない、ってだけじゃないの?」
「多分そうなんだろうな。それでも、人間を救ってあげたかったんだ。馬鹿とでもなんとでも呼べばいいと思う。――だから彼らは先に邪魔者を見つけ出して殺すことにした。何もかもを焼き尽くす厄介な黒い鳥をな」
たしかに、馬鹿な話だと思う。放っておけばいいものを、それが出来なくて救いの対象に牙を剥かれる、そんな普遍的な悲劇。
「つまりあなたは――」
「そう、信じるものに裏切られた奴らの記録から生まれたプログラムだ」

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