「元の時代に戻りたいのでしょう? なんなら、協力してあげないこともないわ」
「ありがとう、ユカリ。ここにいる間は、よろしくお願いするわ」
「こちらこそ、改めてよろしくね」
ユカリと固く握手を交わす。これで、この時代にいる間も寂しい思いはしなくてすみそうだ。そう考えた途端、体から力が抜けてしまい、ユカリの方へ倒れ込んでしまう。
「あら、まだ体調は万全ではないようね」
どこか妖艶さを漂わせたユカリの表情。メリーに似た容貌で、メリーが見せたことのないような表情をする。そのむず痒いような、不思議な感覚が頬を熱くさせる。
「熱まで出てるの?」
「い、いやそういうわけじゃ」
君の知らないメロディー、君の知らないヒット曲。そうだ、メリーが知らない、様々なものを私はここに来て知った。かけがえのない経験。帰ったらメリーに自慢してやろう。