CDプレーヤーからあふれる光に包まれ、宇佐見蓮子がやってきたのは1986年の京都だった。
見知らぬ土地に降り立った彼女は、ユカリと名乗るメリーそっくりの少女に出会い、行動を共にすることとなる。
 
 
「バック・トゥ・ザ・フューチャー」

「宇佐見蓮子の時間旅行」

一応「秘封倶楽部の四次元生活」と繋がったお話にしていますが、こちらから読んでいただいても問題ありません。
また今回、2012年の「科学世紀のカフェテラス」で無料頒布したペーパー「秘封倶楽部の怠慢生活」も再録しております。
頒布価格:400円
ページ数:28P
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 「元の時代に戻りたいのでしょう? なんなら、協力してあげないこともないわ」
 「ありがとう、ユカリ。ここにいる間は、よろしくお願いするわ」
 「こちらこそ、改めてよろしくね」
 ユカリと固く握手を交わす。これで、この時代にいる間も寂しい思いはしなくてすみそうだ。そう考えた途端、体から力が抜けてしまい、ユカリの方へ倒れ込んでしまう。
 「あら、まだ体調は万全ではないようね」
 どこか妖艶さを漂わせたユカリの表情。メリーに似た容貌で、メリーが見せたことのないような表情をする。そのむず痒いような、不思議な感覚が頬を熱くさせる。
 「熱まで出てるの?」
 「い、いやそういうわけじゃ」
 
 
 
 君の知らないメロディー、君の知らないヒット曲。そうだ、メリーが知らない、様々なものを私はここに来て知った。かけがえのない経験。帰ったらメリーに自慢してやろう。

 

 
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