「ねえ紫」
アルコールで頬を薄赤く火照らせながら、霊夢が呼びかける。
「わたしね、感謝してるのよ」
「あら、感謝されるようなことなんて何一つしていないけれど」
「はいはい、そう言ってもらえると語り手冥利に尽きるわ」
酔いが回っているのか、どこか普段より素直な霊夢の言葉。冗談っぽく返しながらも、紫はその言葉に本物の喜びを感じていた。
「ああ、少し飲みすぎちゃったかしら。泊まっていってもいい?」
紫が頭を撫でると、霊夢は甘ったるい声で鳴く。いつ頃からかは思い出せないが、紫はこの少女のことをたまらなく愛しい存在だと認識するようになっていた。